ブリオッシュに洋酒のシロップを染み込ませたフランスの伝統菓子「サバラン」。一時人気を博したものの、徐々にその姿を消していき、販売しているお店が少なくなりました。
フォークを入れるとじゅわっとシロップが染み出し、口の中にラム酒が広がる魅惑の大人のスイーツ。
東京・東十条にある「アドリア洋菓子店」では、創業以来50年以上「サバラン」を作り続けています。その変わらない人気の秘密に迫りました。
東十条を代表する創業50年以上の洋菓子店「アドリア洋菓子店」
東京・東十条駅の北口を出て、商店街を真っ直ぐ歩くこと約5分。黄色い看板がひと際目立つ「アドリア洋菓子店」があります。
店内は木目調の温かな空間。ゆっくりとティータイムが楽しめそうなイートインのスペースが4卓8席あります。
お目当てのサバランがありました!よくショーケースを見ると、プリンアラモード、黄色いモンブラン…他にもクラシックな雰囲気が漂うスイーツがズラリ。
近頃のケーキ店やパティスリーではなかなか見られない光景は、逆に新鮮にさえ見えます。
パティスリーではなく“洋菓子店”であり続ける。50年以上変わらない味
「アドリア洋菓子店」は1967年に創業。先代が第一線を退き、二代目として息子の佐藤 哲郎シェフが切り盛りしています。
佐藤シェフがもっとも大切にしているのは、先代が創り上げた味を変えないこと。「アドリア洋菓子店」を引き継ぐことを決めたとき、“守り続ける使命感”を感じたそう。
「お店を引き継ぐ前は、今とは正反対の洗練したフランス菓子を作りたいと思ってました。それが常連のお客様の反応を見て、気持ちが180℃変わったんです」
20歳より都内のパティスリー数店舗で修業して、26歳で渡仏。1年間の修業を経て、「アドリア洋菓子店」を引き継いだ佐藤シェフ。そこには既に40年以上の歴史があって、ファンの心を掴んできたスイーツの数々がありました。
「その味を楽しみに来てくださるお客様がいる。だから、変えるわけにはいかないと思ったんです。」
流行の入れ替わりが激しい昨今でも、お客様の求める“本質的な美味しさ”を変わらず「アドリア洋菓子店」では提供し続けています。
多くの人が愛してやまないレトロクラシック。おすすめのケーキ5選
決して華美ではないけれど、どこか懐かしくて、ほっとする味わい。多くの人が愛してやまない人気のケーキ5種類を紹介します。
「サバラン」
360円(税込)
サヴァラン生地をフォークで押すとじゅわっと溢れるほどのシロップ!いつの時代も大人を魅了する秘密がそこに隠されています。
「シロップの仕込みをしているとお酒に弱いスタッフはほろ酔いしそうになるくらいです…!」
ラム酒にオレンジがほんのりと漂い、シナモン・クローブ・八角を入れて作られたシロップ。口に含んだ瞬間にパッと広がり、芳醇な香りが鼻へと抜けていきます。
長く続く心地良い余韻とたっぷり絞った生クリームは幸せそのもの。初代から続く「アドリア洋菓子店」の人気商品です。
懐かしさを誘う、銀のアルミカップに入った端正な見た目にも惹かれますね!
「和栗のモンブラン」
390円(税込)
黄色のマロンクリームとアルミカップに入れた見た目がレトロ感たっぷり!
カットしたロールケーキを倒して土台にして、カスタードクリームとマロンペーストを絞ってあります。日本人の舌に合うほっくりとした和栗の甘さ。
「オークル」
420円(税込)
贅沢な午後のティータイムを象徴するような紅茶とホワイトチョコレートのケーキ。
低温で焼いてビスケットのような香ばしさを引き出したホワイトチョコレートのクリームに、アールグレイのクリームとスポンジをアクセントとして重ねてあります。
心地良い紅茶の香りと共に、クリーミーなホワイトチョコの甘さと香ばしさが贅沢な味わい。
「フレジエ」
400円(税込) ※冬から春の季節限定
可憐なピンクと緑に苺の断面が可愛らしい、“フランスのショートケーキ”とも呼ばれているフレジエ。
カスタードクリームやバタークリームを混ぜたムースリーヌは濃厚ながらスッとした口どけ。キルシュの香りがほのかに漂い、苺のみずみずしさと共に春を運んでくるかのよう!
「苺のミルフィーユ」
450円(税込) ※冬から春の季節限定
重なり合う薄い層が、サクサクと軽やかな食感!
しっかりとしたコクがあるカスタード、苺の酸味がバランス良く調和しています。
断面の美しさが綺麗に見えるように、あえて倒した見た目も洗練された雰囲気。
特別な日が何倍にも盛り上がる!ホールケーキのおすすめ3選
一方で佐藤シェフのアイディアをちりばめたホールケーキも見所のひとつ。
「愛されている味を変わらずに提供する。その根本は変わりませんが、お客様の求めるものを確認しながら少しずつ新しい商品作りにも挑戦しています」
特別な日が何倍にも盛り上がるユニークなホールケーキの紹介をします。
「当たり付きプチシュータルト」
4号 2,400円(税込)
5号 3,500円(税込)
6号 4,600円(税込)
7号 5,700円(税込)
カスタードクリーム入りのタルトに積み重ねられたプチシュークリーム。なんと一つだけ当たり付き!?
「特別な日が2倍楽しくなるように、全員参加で盛り上がるゲーム要素を出してみました」と話す佐藤シェフ。
通常は生クリームとカスタードクリームのシュークリームですが、積み上げられた中にたった1個だけ苺クリームのシュークリームが隠されています。
一つ食べるたびにドキドキ!見事当たりを引いた人は、別添えになった王冠をかぶる事が出来ます。
ますます思い出に残る特別な日になりそうですね!
「くまさんショコラ」
1,800円(税込)
森からひょっこりと顔を出したような可愛いくまさん!!
中はスポンジにチョコレートクリームがサンドされています。
ショーケースに並んだ光景を見て、「こんな動物で作れませんか?」と尋ねられる事もしばしば。今まで猫、犬、うさぎ、ブタを作った事があるそう!
EPARKスイーツガイドの予約限定でスポンジに苺の生クリームをサンドした「ぶたさんフレーズ」もあります。
「ぶたさんフレーズ」
4号 1,980円(税込)
5号 3,060円(税込)
6号 4,140円(税込)
どんな動物にするか悩んでしまいますね。動物好きの方にはたまらない可愛さです!
定番の「ショートケーキ」はスポンジを3段に重ねて存在感を出して、数種類の生クリームをブレンドしてコクのある濃厚な仕立てにしたもの。たったひと口でも満足感があります。
「生クリームデコレーション」
ホールタイプ
4号 2,400円(税込)
5号 3,530円(税込)
6号 4,640円(税込)
7号 5,800円(税込)
カットタイプ
1ピース 380円(税込)
レジ前にあるホールケーキ用のアルバムにはラインナップがいっぱい!
「リボンやお花などのチョコレートの飾りをつけるだけでさらに特別感が出ます。数百円から出来るものがあるので、気軽に相談してください」と話す佐藤シェフ。
「こんなものが食べたい…」という夢を叶えてくれるかもしれません!
ブレない伝統が人を惹きつける。いつの時代も美味しい洋菓子を
「伝統は先駆者が試作を繰り返して苦労の末に辿り着いた最高の産物だと思うんです」と話す佐藤シェフ。
先代から受け継がれたものを伝えて、残して、繋げていく。
親子、孫と3世代にわたってファンのお客様から「いつ食べても昔から変わらない美味しさ」だと喜ばれるのも少なくないのだとか。
これまでのお客様も、これからのお客様も大切に。
ずっと愛されて東十条になくてはならない洋菓子店で在り続けるであろう「アドリア洋菓子店」。流行り廃りのないスイーツの本物の美味しさを堪能してみて。
アドリア洋菓子店
住所:東京都北区東十条4-7-17
東十条駅 北口から徒歩約5分
営業時間:10:00〜19:30
定休日:火曜日
公式HP