「待ち合わせはアマンド前で」
待ち合わせ場所といえば六本木交差点のシンボル、アマンド。待ち合わせ時やお酒の後にアマンドのケーキとコーヒーで時間を過ごすことが、当時の六本木スタイルとして人気を得ました。
1946年、すなわち昭和21年。東京・新橋に喫茶と甘味の店として誕生し、昭和を彩ってきたアマンド。新橋から有楽町、六本木、銀座と店舗を増やし、多くの人に愛されてきました。
昨年末の紅白でも大阪府立登美丘高校ダンス部がバブリーダンスを披露するなど、今「昭和」がブーム。右肩上がりの元気な昭和の日本に興味を抱いたのは私だけじゃないはず。
アマンドがすごいのは、平成を経て元号が変わろうとしている今でも、訪れるたびに新たな進化を感じられること。
今回は、アマンドのストーリーと六本木店でいただいた昭和平成スイーツをご紹介します。
私の中ではティファニーブルーと並んで連想する、このアマンドピンク。当時では斬新な発想の、ピンクを基調としたお店をオープンしたのは1949年。
当時、ピンクという色自体がまだ珍しかった中でこのピンクの可愛くてフレッシュな空間はさぞかし新鮮に映っただろうな、と思いを馳せてしまいます。
洋菓子と喫茶のお店を「アマンドスタイル」と呼ぶこともあったとか。いかに時流を読み、その空気感を代表する存在だったかがわかります。おしぼりの提供やパラソルを置いたり、彫刻や絵画を飾ったりという店内装飾の傾向も、アマンドが始めたと言われています。
アマンドの歴史は、日本における洋菓子と喫茶文化のストーリー
アマンドのアイコンスイーツといえば、リングシュー。「女性には口を汚さないように食べられるものも」という作り手の想いから生まれた、フォークとナイフで食べるリング状のシュークリーム。その優しく、斬新なアイディアと美味しさで、行列ができるほど評判になりました。
かく言う私の祖母も、若かりし頃からアマンドのヘビーユーザー。リングシューは、祖母にとって青春の味。アマンドピンクの空間は、青春の舞台だったと聞かされてきました。
昭和を誇るアマンドから、平成の私たちに嬉しいスイーツが勢ぞろい
そんなアマンドが今、とっても面白い試みをしています。2017年、創業70年を迎えて新たな挑戦を打ち出したのです。
その名も「アマンド昭和パーラー」プロジェクト!昭和を彩ってきたアマンドならではの、懐かしくて新しいスイーツを堪能できます。
新しいものが絶えず生まれている今。誰も見たことのない新しいものを、とあちこちで競う機運が生まれがちですが、ふと立ち止まって考えれば「昭和」も私たち平成生まれにとっては逆に新しい。
「あえて昔に戻ってみる」。この覚悟は、非常にかっこいい!古き良き昭和の喫茶店、アマンドならではの戦略です。
ナポレオンパイのパルフェを、いただきました!
いちごとカスタードクリームの豪華なミルフィーユ、「ナポレオンパイ」は昭和生まれの華やかなスイーツ。そのナポレオンパイが、なんとパルフェに!華やかで贅沢な平成昭和デザートに仕立てられました。
驚くべきは、そのボリューム。背の高いパルフェはまだ馴染みがありますが、こちらのナポレオンパイのパルフェは太さもすごい!!底面積大きい!!(笑)
食べきれるかしら、と思いましたが、生クリームが軽く甘さも程よいので、ペロリと完食してしまいました。
びっくりしたのは、いちごの存在感。これだけたっぷり生クリームやパイ生地があるにもかかわらず、いちごの甘さが引き立ち、酸味が浮くこともありません。甘美なアクセントとして、いちごが完璧に機能しているのです。
レトロなプリン・ア・ラ・モードは、甘すぎず、見た目のキュートさに心が躍ります。
昭和の喫茶店の味わい深さは、若い世代の目にも魅力的に映るはず。いちごやバナナ、みかんにチェリーにウエハースが完璧に配置されています。漫画で目にした幻のプリン・ア・ラ・モード。定番の昭和スイーツが、今かえって新鮮なのだと再発見した気分です。
その他、注目したものといえば、大人のフローズンミルクセーキ。昭和の味わい、ミルクセーキを今風にするべくフローズンタイプにしたのだとか。次回来訪時にぜひともいただきたい一品です。
昔のレストランルームで提供していた料理の味を復刻版メニューとして提供する「アマンド昭和食堂」プロジェクトも要チェック!
当時働いていたシェフになんとか連絡を取り、レシピを再現していただいたのだというから、その熱量に感激。おかげで、創業時から人気を博していたスパゲッティナポリタンやハヤシライスなどの復刻版メニューがいただけます。
実は、店頭だけでなく羽田空港や東京スカイツリーでも東京土産として大人気のアマンド。私のイチオシは、アーモンドを使用したなつかしのお菓子「タフィー」をチョコレートでコーティングし、クラッシュアーモンドをふんだんにまぶした「アマンド ショコラ」。
タフィーといえば、祖母の家で幼い頃もらってよく食べた記憶が蘇ります。最近ようやく、タフィーが昭和のお菓子だったとわかりました。他にもきっと、昔食べたことのある味が昭和スイーツとしてアマンドで装い新たに登場するんじゃないか、なんてワクワクしちゃいます。
変わらぬ昭和の空気を伝えてくれる場所でありながら、絶えず進化し、創意工夫で嬉しい驚きを与えてくれるアマンド。レトロかわいいメニューが勢ぞろいです。
皆様もぜひ、懐かしいのに新しい昭和平成スイーツをご体感ください。
意外と、どこより先進的でSNSにも映える、おやつの時間が過ごせちゃうかも。
アマンド
住所:東京都港区六本木6-1-26
Tel:03-3402-1870
月~木・日・祝 10時~23時
金・土 10時~27時